2−MP3について(1)
PCでサウンドをたのしむ時代
最近CPUの処理速度の向上によって、音楽CD並みのクオリティで圧縮したオーディオをリアルタイムで再生することが可能になり、PCのサウンド環境は大きく変わってきている。
オリジナルの楽曲をMP3ファイルに変換し、インターネットなどで配布したり、ジュークボックスのように何百曲もBGMとして流すことができるようになった。
オーディオ圧縮の基本知識
MP3に限らず、オーディオ圧縮の方法は基本的に同じで、音をデジタルフォーマットであるWAVEファイルに変換し、それをオーディオ圧縮方式で圧縮(エンコード)する。カセットテープなどアナログ素材の場合はデジタル化が必要になるが、この機能はMP3エンコードソフトに含まれていないこともあるので注意したい。音楽CDはすでにデジタルデータであるため、CD-ROMドライブから直接ファイルとして読み出す。この作業をリッピングと呼んでいる。つまり、音楽CDから圧縮オーディオファイルを作る基本的流れは、リッピング→エンコードという作業になる。ソフトの多くは、これらが録音という1回のフェーズで済むようになっている。これをダイレクトエンコードと呼んでいる。巨大なWAVEファイルを一時的に保存するスペースがいらず作業も簡単だ。設定によってはWAVEファイルを作成することもできるので、CPUやCD-ROMドライブが遅くてダイレクトエンコードできない場合にも対応できる。MP3エンコードソフトの力点は、このエンコードに集約されている。いかに手軽にかつ高品質で音楽CDからMP3ファイルを作成できるかが重要になってくる。MP3のエンコードでは、多様なビットレートに対応しているかもチェックする必要がある。高いビットレートでは高品質なエンコードが可能になるが、ファイルサイズが大きくなる。音楽CDの音質を保ちたいのであれば、128Kbpsが基準といわれている。ソフトによっては、MP3以外の圧縮形式が選択できるものもある。Windows Media Audio(WMA),RealAudio(RA),Twin VQといった種類があり、凡用性に欠けるが、目的や曲調によってはこれらのフォーマットのほうが結果が良くなることもある。
さまざまな付加機能を統合
CDDBと呼ばれるインターネット上の曲名データベースへのアクセス機能もあり、CDの識別IDによって自動的に曲名が入力されるようになる。洋楽が主だが、なかには日本独自のCDDBをサポートするものもある。また、ポータブルメモリプレイヤーへのダウンロード機能を付けているソフトもあり、対応するプレイヤーを持っている場合には便利に使うことができるだろう。
さらに、MP3をCD-Rに書き込む機能を持つソフトも多くなってきている。HDDの容量が少なくなってきたときCD-Rに焼いて保存するということも簡単に行えて便利だ。