Vol.1〜Vol.25 特別編&年度別ベストテン
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 2001年 ベストテン  

()内は、国名/監督/主演

  1位 ロシアン・ブラザー
     (ロシア/アレクセイ・バルバノフ/セルゲイ・ボドロフ・ジュニア)
  2位 裏切り者
     (アメリカ/ジェームズ・グレイ/マーク・ウォールバーグ)
  3位 楽園をください
     (アメリカ/アン・リー/トビー・マグワイヤ)
  4位 こころの湯
     (中国/チャン・ヤン/チュウ・シュイ)
  5位 ブラックボード 背負う人
     (イラン/サミラ・マフマルバフ/サイード・モハマディ)
  6位 リメンバー・ミー
     (韓国/キム・ジョングォン/キム・ハヌル)
  7位 追撃者
     (アメリカ/スティーヴン・ケイ/シルヴェスター・スタローン)
  8位 ムルデカ 17805
     (日本/藤由紀夫/山田純大)
  9位 誘拐犯
     (アメリカ/クリストファー・マックァリー/ジェームズ・カーン)
  10位 ROCK YOU![ロック・ユー]
     (アメリカ/ブライアン・ヘルゲランド/ヒース・レジャー)

男優賞 ジェームズ・カーン(裏切り者、誘拐犯)
女優賞 ジル・ヘネシー(DENGEKI)

 1位こそロシア映画『ロシアン・ブラザー』が獲得したものの、全体的にアメリカ映画の健闘が目立った。アメリカ映画は、夏くらいからデジタル技術を駆使した虚しい大作が続いたものの、それらと逆行するかのように、自然光撮影に徹した『裏切り者』や、寒さを暗さで表現した『楽園をください』、ベストテンには入っていないが、自然光でパンフォーカスに挑む快挙を成し遂げた『彼女を見ればわかること』など、特殊効果に流されるのではなく、照明と露出が、ともすれば映画でなくなってしまうギリギリの限界点で苦闘するかのような、挑戦的な作り手が多く現れ、映画はまだまだ滅びるものではないぞ、という心強い主張を浴びせてくれた。
男優賞と女優賞については、今さら言及するまでもあるまい。ジェームズ・カーンの、昨年くらいからの突然の復活は、いったい何なのだろう? 『誘拐犯』における「老いぼれとはどういう意味かわかるか? それは生き残っているということだ」の忘れらないセリフとともに、来年もその冷たい迫力を発揮してくれることだろう。

     

 

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 2002年 ベストテン 
( )内は、製作国、監督、主演の順

  第一位 キプールの記憶(イスラエル=フランス=イタリア/アモス・ギタイ/リオン・レヴォ)
  第二位 レイン(タイ/ダニー&オキサイド・パン/パワリット・モングンコンビシット)
  第三位 Dolls(日本/北野武/菅野美穂)
  第四位 うつくしい人生(フランス/フランソワ・デュペイロン/エリック・カラヴァカ)
  第五位 ごめん(日本/冨樫森/久野雅弘)
  第六位 カンダハール(イラン=フランス/モフセン・マフマルバフ/ニルファー・パズィラ)
  第七位 ラッキー・ブレイク(イギリス/ピーター・カッタネオ/ジェームズ・ネズビット)
  第八位 海辺の家(アメリカ/アーウィン・ウィンクラー/ケヴィン・クライン)
  第九位 アトランティスのこころ(アメリカ/スコット・ヒックス/アントン・イェルチン)
  第十位 ロゼッタ(フランス/リユック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ/エミリー・デュケンヌ)

『レイン』は、久しぶりに個人的な思いだけで選んだ。口のきけない主人公が、恋人と筆談で会話を交わすシーンは、「泣けた」ことにおいては、正に今年のベストワンである。
北野武のことだから、また変なことをやるだろうと予想できた『Dolls』だが、結果はそんな予想をはるかに超えていた。二人の男女が並んで歩く、という行為は、成瀬巳喜男における最も幸福なシーンとなるが、それをほぼ全篇に引き延ばすことは、実験的に見えながら、実は映画の王道なのだ。菅野美穂の歩きは、原節子のそれとはまったく違う動作であるが、永遠に見続けていたい、と思わずにはいられない。
『うつくしい人生』における、画面を対角線につなぐ斜面と夕陽、『ごめん』における、大阪から京都への自転車行、『カンダハール』における、最後まで到達できない目的地カンダハール、『ラッキー・ブレイク』における、夢のようなラストとそれを上回る後日談、『海辺の家』における、生きて人間に働きかけてくる存在としての海、『アトランティスのこころ』における、一人二役で演じられる、亡き恋人の娘との会話、『ロゼッタ』における、残酷な日常の反復……。

記憶に鮮やかな痕跡を残して走り過ぎていったイメージたちの、何と豊富なことか。
一本一本の記憶を甦らせながら、新たな感動が湧き上がってきてしまった。


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