■アンドレ・マナートのオランダコンビネーション ローキック篇
アンドレ・マナートは、アーネスト・ホーストやピーター・アーツが登場する以前、オランダのキックボクシング技術を確立し、ロブ・カーマンと並んで黄金時代を築いた第一人者である。
左のパンチから右の蹴り、右のパンチから左の蹴りなど、対角線でつながれるその攻撃パターンは、オランダコンビネーションと呼ばれ、現在ではキックボクシングにおける戦闘法の基本になっている。
それほど、オランダコンビネーションは、身体操作の理にかなったものであり、誰もが身につけやすく、使いやすいテクニックなのだ。
前回は、相手の攻撃に対する基本的な反撃方法を紹介したが、今回はローキックへつなぐオランダコンビネーションを、その本家本元アンドレ・マナートが伝授する。
アンドレ・マナート
andore mannaart
現、オランダ目白ジム会長兼トレーナー
1980年、19歳でオランダ目白ジムに入門。
84年デビュー。
獲得したタイトルは、
ISKA世界クルーザー級王者
WKA世界クルーザー級王者
WAKO世界クルーザー級王者
WPKL世界クルーザー級王者
以上はタイトル保持のまま、引退。
他に、
WKA世界ライトヘビー級王者
WKAインターコンチネンタルライトヘビー級王者
生涯戦績96戦79勝15敗2引分
パンチからローキックへつなぐコンビネーションは、非常に多くのパターンが存在し、そのほとんどが、すでに研究され尽くしている。
このコーナーで紹介する、パンチからのローキックも、キック経験者なら、誰もが知っているものばかりであろう。
しかし、あえてここで紹介するのは、こうした単純な基本の組み合わせこそが重要であり、知識として理解できたからといって、決しておろそかにしてはいけないから
である。
藤原敏男氏が、ジャイディ・ピサヌラチャン戦で、3ラウンドにダウンを奪われたが、記憶が飛んだまま闘い続け、5ラウンドでは、ジャイディをKO寸前まで追い込む猛反撃を見せた。
このとき、藤原氏が出した攻撃は、左ジャブから右ローキックという、最も基本的なパターンであり、記憶が飛んでいながらも、手でフェイントしてからローキックという動きを、本能で繰り出していったのである。
藤原氏は、左ジャブから右ローキックへつなぐ動きを、そこまで身体に染み込ませていた。だからこそ、ここ一番でその動きが出せたのである。
基本的で、単純だからといって、ばかにしてはいけない。シンプルや動きだからこそ、身体に徹底して染み込ませておけば、いざというときに自分の身を守ってくれる強力な武器となる。
藤原氏の動きを、当時、オランダ目白ジムのトレーナーであったヤン・プラス氏は、初心者にわかりやすく、オランダ式の合理性を加味して構成したものが、今回、アンドレ・マナート氏が実演してくれるオランダ・コンビネーションなのだ。
それらは、最も「易」なものが土台になっている。易を徹底的に突き詰めることが、自分の技を身につける、技を磨く、ということに他ならない。
まるで言葉を発するかのごとくスムーズに繰り出される、アンドレ・マナート氏のオランダ・コンビネーションから、最も大切な基本を、今一度、見つめ直していこう。
パンチから右ローキックへ
最も基本的なコンビネーションから。左ジャブを放ち(12)、右ローキック(3)。
左ジャブ(45)、右ストレート(6)から右ローキック(7)。右ストレートを出
す際、身体をひねり切ってしまうと右ローが出しにくくなるので、右ストレートは、腰が正面を向くくらいまでのひねりにとどめると、右ローへつなぎやすい。
左ジャブ(89)、右ストレート(10)、左フック(11)、右ローキック(12)。
左ジャブから入ることができるようになったら、次の段階では、いきなり右ストレー
トから入るコンビネーションを行う。右ストレート(1314)、左アッパー(15)、右ローキック(16)。
右ストレート(17、18)、ボディへの左フック(19)、右ローキック(20)。
左アッパー(2122)、右ローキック(23)。
右ローキックへつなぐコンビネーションが身についたら、左ジャブ(2425)右ロー(26)、そこからハイキックへつなぐ(2728)、ミドルキックへつなぐなど、技に変化を加えていくと、さらに幅が拡がるようになる。
パンチから左ローキックへ
左ジャブから(2930)、スイッチして(31)、左ローキック(32)。左の蹴りは、スイッチが重要なポイントとなる。スイッチが難しければ、踏み込んで蹴ることから練習すると、スイッチも身につきやすくなる。
左ジャブ(3334)、右ストレート(35)、スイッチして(36)、左ローキック(3738)。
左ジャブ(3940)、右ストレート(41)、左フック(42)、もう一度右ストレート(43)、スイッチし(44)、左ローキック(45)。
左ジャブ(4647)、右アッパー(48)、スイッチし(49)、左ローキック(50)。
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